頭を強く打った後、1、2ヶ月のちの変化に注意
転倒して頭を打った高齢者の方がいらしたとしましょう。その時は症状もなく、念のためにCTを撮っても病変は見られません。ところが、そこから1、2ヶ月経つと、急に麻痺が出たり、歩くのに支障が生じたり、認知症のような症状が見られるようになります。これが慢性硬膜下血腫です。なぜこうした現象が起きるのでしょうか。実は転倒をきっかけに脳を包んでいる硬膜の細い血管から少しずつ出血し、それが脳の周りに少しずつたまっていくのです。お風呂をイメージしてみてください。水道の栓を閉め忘れ、ぽたんぽたんと落ちている水が一晩経つといっぱいになってしまう。それと同様で、特にご高齢の方は脳が萎縮してしまっていますから、血がたまるスペースが脳の周りにあるのです。これらは、CTを行うとすぐに診断できます。
治療としては、局所麻酔で頭蓋骨に穴を開け、中の血を吸い取っていくことになります。治る認知症とも言われますが、高齢化社会が進むにつれ、増えてきている傾向があります。
- 吉祥寺脳神経外科・内科クリニック
- 淺田 英穂 院長
- 武蔵野市/吉祥寺南町/吉祥寺駅
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