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佐野 順子 院長

YORIKO SANO

患者さんとご家族の方を精神面でも支える訪問診療を

聖マリアンナ医科大学卒業後、腎臓と人工透析の専門医として診療に携わる。横浜市の病院にて内科医の経験を経て、2003年、あさお・百合クリニックを開院、翌年新百合ヶ丘駅から車で15分の麻生区虹ヶ丘に移転。

佐野 順子 院長

佐野 順子 院長

あさお・百合クリニック

川崎市麻生区/虹ヶ丘/柿生駅

  • ●訪問診療
  • ●内科

必要としている全ての人に医療を届けたい

佐野 順子 院長

小さい頃からピアノを習っていたので、音楽の道を目指そうと思った時期もありました。しかし、高校生の時学校の授業で、医師のいないエリアがあって病気で苦しんでいる人がいると知り、直観的に医師になろうと決めたのです。
聖マリアンナ医科大学に進み、腎臓内科を専攻し、腎臓と人工透析の専門医として診療に携わっていましたが、一つの専門分野にこだわることなく、総合的に診察ができる「ジェネラルフィジシャン」として患者さんに寄り添う必要性を感じるようになりました。また妊娠・出産を機に、子育てをしながら、勤めた病院では寿町界隈の、路上生活者や生活保護の方など様々な環境で生活する方への診療も経験したことも転機となりました。そこは、それまで在籍していた大学病院とは診療方針が大きく異なり、金銭的にもなるべく患者さんに負担をかけない治療が大前提でした。多くの薬を処方したり大げさな検査をしなくても、よく話を聞き心の悩みを共有しながら、生きる力を与えてあげることが一番の薬になり、驚くほど回復することができる、ということをその時に知ったのです。病気は、医師が治してあげているわけではなく、治すお手伝いをしているだけということに、改めて気づかされる機会となり、これからは医療の原点にかえってできることしたいと強く思いました。そちらの病院には9年間在籍しましたが、人とは何か、医療とは何か、生きるとは何かを考えさせられました。高校生の時に直観で感じた医療への思いに通じていると思い、医師になった目的に限りなく近いと感じました。また、当時は病院に行けない人を診るための医療、いわゆる「訪問診療」というものが一般的ではなく、病院に行けなくて困っている、診てくれる医師がいないという患者さんのお声を聞いて、この都会でも医療が届いていない場所があるということが、自分の中でとてもひっかかりました。それが開院のきっかけとなり、2003年、訪問診療をおこなう、あさお・百合クリニックを開院しました。

豊富な訪問診療の経験で、総合的にサポート

佐野 順子 院長

当院は、まだ在宅医療という言葉が馴染みのないような時代にオープンし、麻生区では訪問診療の先駆け的存在でした。翌年2004年、新百合ヶ丘駅から車で15分ほどの距離にある、麻生区虹ヶ丘へ移転しました。当院では、訪問診療を中心に、外来は予約制で承っています。開院当時は、訪問診療に対応しているクリニックが少なく、かなり広い範囲をお伺いしていましたが、近年需要の拡大から、対応できる医師や訪問診療を専門とするクリニックが増えたので、エリアも以前よりは狭めて時間的に余裕を持って診療をおこなっています。月・火・木・金曜の日中に平均8件の訪問をしており、診療時間外でも緊急の際は対応しております。
患者さんは、ガンの終末期の方、神経難病を患っている方、認知症の方、老衰に向かわれている方に多くご利用頂いています。特に、ガンの終末期の方は刻々と病状が変るので慎重に対応する必要があり、精神面での支えを必要としますので、体調だけでなく、ご家族のケアを含め、診療時間が1時間を超えることも多々あります。今後どうなっていくのか患者さんが感じる不安に対して、最終的にはご本人もご家族の方も、やり切ったと思える状態でお見送りができるように心がけています。

存在していることが何よりも素晴らしいということ

佐野 順子 院長

私は「人を診る」ということをモットーにしています。近い未来、AIが病気を診る時代が来るかもしれませんが、人は人にしか診ることはできないと思います。よく話を聞き、どんな選択肢であっても受け止めて、寄り添ってあげることは人にしかできません。それが在宅医療の根本であって、誰にでもできることではないと思っています。これまでのたくさんの経験を通じて今そう思えるようになり、全てが人生勉強だったと感じます。
人が生きるということには限界があります。誰もが公平に歳をとっていくもので、年齢を重ねて身体が不自由になり、「何にもできなくなった」「働けなくなった」「周囲に迷惑をかけた」と絶望し、嘆く患者さんに私がいつもお伝えしていることがあります。それは、「人が歳と共に何にもできなくなることは無能なことではなく、ただここに存在していることがとても大事だ」ということ。「doing(行動すること)」が大事なのではなく「being(存在していること)」が大事なのです。目の前にいてくれることがいかに温かいことなのか、これからも患者さんにお伝えしていきたいと思っています。

残される家族の方が、最後まで思い悩まないように

ご家族の方が、ご自身で何もできなくなった患者さんをお世話することは、自分磨きをすることと同じです。もちろん、面倒をみないという選択肢もあり、粗悪に扱うこともできます。でも、そうしないのは自分の中にある「人として」という良心に基づいて行動するからです。その良心を磨くために援助を必要とする患者さんが存在していて、例え誰からも感謝されなくても、良心に赴くままに行動をするということが、人が持つ本来の優しい慈悲の心です。
「呼吸器をつける」「点滴をする」「入院をする」など、生きるか死ぬかに直結する治療に関して、患者さんではなく、ご家族の方が結論を出さなければならない場面が多くあります。そういった選択を迫られた時に、その選択をしたことが本当に正しかったのかどうか悩まれるご家族は多いと思います。しかし、それに対する正解はなく、選んだ答えに関しては迷わず、振り返らなくて良いのです。悩んだこと全てが愛情の裏返しで、その時選んだ選択がベストな選択であると、ご家族の方へお伝えすることも、私たち医師やスタッフの大切な役目だと思っています。亡くなった後の「グリーフケア」も含めて、やり残したことはなかったとお伝えできるのは、在宅医療だからできることだと思います。

これから受診される患者さんへ

どんな患者さんに対しても分け隔てなく医療をおこなうことを第一に、様々な状況の患者さんと向き合い診療をしてまいりました。訪問診療は患者さんを診ることを目的としていますが、ご家族がいる方に対しては、患者さん本人だけでなくご家族の方も含めた全部を診ることになります。患者さんのお悩みも、ご家族の方のお悩みも、全て受け止めて、今できることは何なのか、共に考えて診療をしていきたいと思っています。

※上記記事は2019年5月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

佐野 順子 院長 MEMO

  • 出身地:神奈川県
  • 趣味:歌を歌うこと、ピアノ、ガーデニング
  • 好きな本:浅田次郎著『盂蘭盆会』
  • 好きな映画:『岳』
  • 好きな言葉:和顔愛語
  • 好きな音楽:フランスの作曲家ガブリエル・フォーレの作品
  • 好きな場所:富士山の見える風景

グラフで見る『佐野 順子 院長』のタイプ

穏やかで明るく話しやすい先生

穏やかでやさしく
話しやすい
エネルギッシュで
明るく話しやすい

先生を取材したスタッフまたはライターの回答より

穏やかで明るく話しやすい先生
穏やかでやさしく
話しやすい
エネルギッシュで
明るく話しやすい

先生を取材したスタッフまたはライターの回答より

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